西本智実 NEW YEAR CONCERT 2026 ~魔法の世界へ~ (鑑賞レポート)
2026年 02月 11日
2026年最初のコンサートは、1月25日(日)、
神戸ポートピアホールで開催された「NEW YEAR CONCERT2026」だった。
今回のコンサートのテーマは「魔法」。
行く前から、どんな魔法に出会えるのだろうかと、ワクワク、ドキドキしながら準備をした。
装いもケープコートを羽織り、ほんの少しだけ魔法の雰囲気をまとって、神戸へ向かう旅が始まった。

冬晴れの神戸は、六甲おろしの冷たい風の中にも、暖かい太陽が降り注ぐ海辺の景色が広がっていた。
ホール入口には、西本画伯による魔法使いの描かれた案内板が立っていた。
もう、この時点から魔法の世界は始まっている。


会場へ向かうロビーには、ボードに飾られたイラストが並び、コンサートで演奏される『魔法使いの弟子』
の物語が紹介されていた。
思い思いの「魔法」をテーマにした装いのお客様が、笑顔でホールへと向かっていく。

中井美穂さんの司会で、ポートピアホテル開催20回目となる「NEW YEAR CONCERT 2026」が、
いよいよ幕を開ける。
第1部は『眠れる森の美女』のワルツで始まった。
その音楽は、まるでこの日の始まりを祝福するかのように、優雅で華やかにホールを包み込んだ。
続くムソルグスキー『禿山の一夜』では、先ほどまでの優雅さが一転し、魔法の世界の影の部分が立ち上がる。
知らず知らずのうちに、その世界へ導かれていくような感覚があった。
フェラーリ作曲『マドンナの宝石』間奏曲には、どこか人間味のある温度があり、物語の息づかいを感じる。
そして第1部最後の曲、ファリャ作曲『スペインの庭の夜』。
音楽は風や香りを伴って、遠い土地へと連れて行ってくれるようで、その余韻が自然に第2部へとつながって
いくように感じられた。
休憩時間になると、先ほどロビーに展示されていたイラストが、ステージ上に登場している。
いよいよ第2部、「魔法の世界」の幕開けだ。
第1曲目は、デュカスの交響詩『魔法使いの弟子』。
中井美穂さんが演奏を聴きながら、イラストのそれぞれのシーンを魔法の杖で指し示すという、
楽しい演出が施されていた。
演奏後、「正解だったかどうかわからない」という中井さんの言葉に対して、「正解はないのです。
皆様がそれぞれ音楽から感じる想像、それがご自身にかける魔法です」と語られたマエストロの言葉が、強く心に残った。
魔法の世界は、まだ続く。
『アナと雪の女王』よりメドレーでは、エルサの心の葛藤と、アナの天真爛漫な明るさ、そしてオラフの
おどけた表情が次々と思い浮かぶ。おなじみの「ありのままで」を聴きながら、思わず胸が熱くなった。
ジョン・ウィリアムズ作曲、「ハリー・ポッターと賢者の石」管弦楽組曲からは、
『ヘドウィグのテーマ』『ハリーの不思議な世界』が演奏された。
ハリー・ポッターシリーズは、本も映画もすべて親しんできた作品である。音楽とともに、
それぞれの名場面が脳裏に次々と浮かび、完全にハリー・ポッターの世界へ入り込んでいた。
会場全体が、大きな魔法に包み込まれているようで、終演後もしばらく席を立てず、その余韻に身を委ねていた。

ホールを出ると、すっかり夜の帳が下り、雪がちらついている。
同じ音楽を愛する仲間と、この時間を共有できたことも、また大きな喜びだった。
神戸からの帰路、窓の外を流れる神戸市街の夜景を眺めながら、音楽の持つ力をあらためて思う。
新しい年の始まりに、これほどふさわしい一日はないだろう。
静かな満足感とともに、駅へと向かった。
(IPC:西山多希子)
